
Q 消費税の申告はどういった場合に必要ですか?
個人事業主の場合には、原則として、開業年から2年間は消費税の申告は不要です。3年目については、開業初年度(1月1日から12月31日)の売上が1000万円を超える場合には、消費税の申告が必要になります。
なお、相続により事業を引き継いだ場合には初年度から申告が必要なケースも有ります。
Q 消費税の申告が必要な場合の計算はどうしたら良いですか?
消費税の計算には、原則と簡易課税制度(前年までに届出が必要)の2つがあります。いずれの方法で計算するとしても、一年間の売上・仕入(経費含む)の経理において消費税を意識して分類しておく必要があります。
原則では以下のようになります。
1 課税となる売上と課税となる仕入を集計
2 課税売上割合を計算
3 売上に係る消費税額を計算
4 課税売上割合に応じて仕入に係る消費税額を計算
5 売上に係る消費税額-仕入に係る消費税額=納税額
※ 売上に係る消費税額<仕入れに係る消費税額の場合には還付となります
簡易課税制度では以下のようになります。
1 課税となる売上を集計
2 売上に係る消費税額を計算
3 売上に係る消費税額✕みなし仕入率=仕入に係る消費税額
4 売上に係る消費税額-仕入に係る消費税額=納税額
※ 簡易課税制度では、還付は発生しませんのでご注意下さい
集計まで終わっていれば、国税庁のホームページの申告書等の作成コーナーで申告書を作ることもできます。(消費税及び地方消費税の確定申告の手引き等(国税庁HP))。
なお、いずれの計算方法が有利かについては、将来の事業計画を確認しながらになりますので、複雑な場合には専門家に確認することをお勧めいたします。
Q 簡易課税制度の選択にあたって注意すべき点は?
簡易課税制度は選択制ですので、原則として、適用を受けようとする年の前年中に選択届を提出しておく必要があります。また、簡易課税制度は、2年前の課税売上高が5000万円以下の場合にのみ適用できます。2年前の課税売上高が5000万円を超えていると、選択届を提出していても簡易課税制度で計算することはできなくなります。
あわせて、簡易課税制度を選択している年では、大きな投資をして消費税の還付をうける等の還付が発生しないことには注意が必要です。
簡易課税制度の選択を選択後3年間は、この選択をやめることはできない(原則に戻れない)ことにもあわせてご注意下さい。
よくあるトラブルとしては、簡易課税制度が有利だと思って選択したものの、原則に戻れない期間中に大きな設備投資をして、設備投資に係る消費税額の還付を受けることができなかった等があります。
Q 課税事業者を選択したほうが得なケースはありますか?
開業初年度から2年間は、原則としては、消費税の納税義務はありません。しかしながら、大きな設備投資をする場合や主に輸出業を営む場合については、自ら、開業初年度から消費税の課税事業者を選択したほうが良いケースも有ります。
これらに共通するのは、消費税の計算上、売上にかかる消費税<仕入れにかかる消費税、となり還付が生じることが想定されるケースです。
なお、投資する設備の種類や取引の規模などによっては、課税事業者を選択しないほうが良いケースもあります。消費税でトラブルになりやすいところですのでご注意下さい。 >個人事業主のトップに戻る